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糖尿病

糖尿病とは、血液の中に含まれるブドウ糖(血糖)の濃度が慢性的に高くなってしまう病気です。私たちの体は通常、膵臓から分泌される「インスリン」というホルモンの働きによって血糖値が一定の範囲に保たれていますが、このインスリンの量が足りなくなったり、働きが悪くなったりすることで血糖値が上がってしまいます。当院では、血糖値の数値だけを見るのではなく、患者さん一人ひとりの生活リズムや背景を大切にした診療を行っています。放置すると全身の血管にダメージを与え、大きな病気につながる恐れがあるため、早期の発見と無理のない継続的な管理が極めて重要です。地域の皆様が将来にわたって健やかに過ごせるよう、私たちが丁寧に伴走いたします。

糖尿病の症状について

糖尿病の恐ろしい点は、かなり進行するまで自覚症状が乏しいことです。健康診断で「血糖値が高い」と指摘されても、痛くも痒くもないために受診を先延ばしにしてしまう方が少なくありません。しかし、症状がない間も体の中では少しずつ血管へのダメージが蓄積されています。

高血糖の状態が続くと、体は過剰な糖分を尿として排出しようとするため、以下のような変化が現れることがあります。これらのサインに心当たりがある場合は、早めの受診をお勧めします。

  • 喉の渇き・・尿の量が増えることで体の水分が失われ、喉が非常に乾きやすくなります。
  • 多尿・頻尿・・尿の回数や量が増え、夜間に何度もトイレに起きるようになります。
  • 倦怠感・・糖分をエネルギーとしてうまく利用できなくなるため、しっかり休んでも疲れが取れにくくなります。
  • 体重の減少・・食事を摂っているにもかかわらず、エネルギー不足から急激に体重が落ちることがあります。
  • 視界のかすみ・・血糖値の変動により、一時的に目のかすみを感じることがあります。

体の不調が続いている方は「体がだるい・疲れやすい」のページも併せてご覧ください。

糖尿病の原因について

糖尿病の原因は、血糖値を下げる唯一のホルモンである「インスリン」のトラブルにあります。インスリンは血液中のブドウ糖を細胞に取り込み、エネルギーとして利用する手助けをしますが、この仕組みが崩れる理由は大きく分けて2つあります。

インスリン分泌の低下

膵臓の機能が低下し、インスリンを十分に作り出せなくなる状態です。遺伝的な体質に加え、加齢や特定の疾患などが影響することがあります。日本人は欧米人と比較して、もともとインスリンを作る能力がそれほど高くないという人種的な特徴があると言われています。

インスリン抵抗性の増大

インスリン自体は分泌されているものの、肝臓や筋肉などの組織でその効き目が悪くなってしまう状態です。この「効きにくさ」には、日々の生活習慣が深く関わっています。

  • 過食・・必要以上のカロリーを摂取し続けることで、インスリンが働ききれなくなります。
  • 運動不足・・筋肉での糖の消費が減り、インスリンの感受性が低下します。
  • 肥満・・特に内臓脂肪が増えると、インスリンの働きを邪魔する物質が分泌されます。
  • ストレス・・過度なストレスは血糖値を上昇させるホルモンの分泌を促し、バランスを崩します。

生活習慣の影響については「生活習慣病」のページでも詳しく解説しています。

糖尿病の種類について

糖尿病はその発症のメカニズムによって、いくつかのタイプに分類されます。それぞれのタイプによって、治療へのアプローチや考慮すべき点が異なります。

2型糖尿病

日本人の糖尿病患者さんの約9割以上を占めるタイプです。遺伝的な背景に、食べ過ぎ、運動不足、肥満、加齢などの生活習慣が加わって発症します。中高年以降に多く見られますが、近年は食生活の変化により若い世代でも増えています。当院ではこのタイプの患者さんの管理を多く行っています。

1型糖尿病

インスリンを作っている膵臓の細胞が、主に自己免疫の反応によって破壊されてしまう病気です。生活習慣とは関係なく、ある日突然発症することが多いのが特徴です。体内でインスリンがほとんど作られないため、生命を維持するためにインスリン注射による補充が欠かせません。

特定の原因による糖尿病

遺伝子の異常や、他の病気(膵臓疾患、内分泌疾患など)、またはステロイド薬などの薬剤の使用が原因で発症する糖尿病です。原因となっている背景疾患の治療と並行して、血糖コントロールを行っていく必要があります。

妊娠糖尿病

妊娠中に初めて発見される、まだ糖尿病には至らない程度の糖代謝異常です。お腹の赤ちゃんに栄養を送るためのホルモンの影響で、血糖値が上がりやすくなります。出産後に正常に戻ることが多いですが、将来的に2型糖尿病を発症するリスクが高まるため、産後のフォローが大切です。

糖尿病の治療法について

糖尿病治療の目的は、血糖値を正常に近い状態に保つことで、恐ろしい合併症を防ぎ、健康な人と変わらない生活を送ることです。当院では無理のない範囲で継続できる治療計画を一緒に考えます。

食事療法

治療の基本となるのが食事です。「食べてはいけないもの」があるわけではなく、「適量をバランスよく摂る」ことが大切です。当院では患者さんの普段の食生活を伺いながら、実行しやすい工夫を提案します。極端な制限は長続きしないため、ご自身に合ったペースを見つけることが重要です。

運動療法

運動によって血液中のブドウ糖が消費され、インスリンの効き目がよくなります。激しい運動である必要はありません。ウォーキングなどの有酸素運動を中心に、日常生活の中で歩く時間を増やすことから始めましょう。膝や腰に痛みがある方は、無理をせず主治医に相談してください。

薬物療法

食事や運動だけでは十分な改善が見られない場合、お薬の力を借ります。現在は多くの種類のお薬があり、患者さんの病態に合わせて適したものを選択します。

  • 経口血糖降下薬・・インスリンの分泌を促すものや、効き目を良くするものなど、飲み薬の種類は多岐にわたります。
  • GLP-1受容体作動薬・・インスリンの分泌を助け、食欲を抑える効果が期待できる注射薬や飲み薬です(GLP-1とは、食後に小腸から分泌され、膵臓にインスリンを出すよう促すホルモンです)。
  • インスリン療法・・不足しているインスリンを直接注射で補います。膵臓を休ませる目的で一時的に使用する場合もあります。

 

糖尿病について~よくある質問~

Q1. 甘いものを食べなければ糖尿病にはなりませんか?

A1. 甘いものの摂り過ぎは原因の一つになりますが、それだけで決まるわけではありません。全体の摂取エネルギー量や、脂質の摂り過ぎ、運動不足、ストレス、そして遺伝的な体質などが複雑に絡み合っています。バランスの良い生活が予防の鍵となります。

Q2. 一度お薬を飲み始めたら、一生やめられないのでしょうか?

A2. 必ずしもそうとは限りません。早期に治療を開始し、食事や運動で良好なコントロールを維持できるようになれば、お薬を減らしたり、中止したりできるケースもあります。大切なのは自己判断で中断せず、医師と相談しながら継続することです。

Q3. 糖尿病と診断されましたが、自覚症状が全くありません。治療は必要ですか?

A3. はい、必要です。糖尿病の本当の怖さは「沈黙の病」と呼ばれ、症状がないまま合併症(腎不全や失明、足の壊死など)が進むことにあります。将来の健康を守るために、症状がない今のうちからケアを始めることが重要なのです。

Q4. 家族に糖尿病の人がいると、自分も必ずなりますか?

A4. 遺伝的な体質は影響しますが、必ず発症するわけではありません。体質がある方は、そうでない方よりも生活習慣の影響を受けやすい傾向にあります。そのため、早めに健康的な生活を意識することで、発症を予防したり遅らせたりすることが期待できます。

院長より

糖尿病の管理で最も大切なことは、一人で抱え込まず、無理なく続けていくことです。診断を受けた際、「これからずっと好きなものを食べられないのか」と絶望に近い気持ちになる方もいらっしゃいますが、決してそんなことはありません。当院では、患者さんのライフスタイルや「これだけは譲れない」という楽しみを尊重しながら、医学的な観点から適した妥協点を見つけていくことを得意としています。

検査の数値だけを見て一喜一憂するのではなく、その背景にある日々の生活を丸ごとサポートしたいと考えています。

「最近、疲れが取れにくい気がする」「健診の結果が少し心配」といった些細なきっかけでも構いません。まずは一度、お話しを聞かせてください。私たちは患者さんの声に耳を傾け、現在の体調を精密に評価し、これからどう過ごしていくのが良いかを共に考えていきます。将来、あの時相談してよかったと思っていただけるよう、精一杯お手伝いをさせていただきます。どうぞリラックスした気持ちでご来院ください。

初診の際の手順については「初診の方・久しぶりに受診される方へ」のページに詳しく記載しております。

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